企業コーチング・教育の最新市場

2022年4月23日のJosh BersinのBlog記事を下記のようにまとめました。


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・企業コーチング市場調査によると、3,600億ドル(約46兆円)以上が企業研修に費やされている。平均すると社員1人あたり年間約1,400ドル(約18万円)プラスコーチングに年間300-500ドル(39000円〜59000円)追加する企業も存在するため、4,500億ドル(約58兆円)以上の巨大市場となっている。

・約70%の社員が燃え尽き症候群と過労状態にあり、従来のトレーニングプログラムでは対処できない。また採用や移動など様々な要因もあり、企業は社員に対して個人的な能力開発を提供する事に必死になっている。

・現在のトレンドはエグゼクティブ・コーチに1時間約1000ドル(約12万円)以上払う割に、BetterUp, Torch, SoundingBoard, Bravely, CoachHubのようなプラットフォームを使えば、社員にパーソナライズされた教育を提供すれば、コストを最小限にコーチネットワークを手に入れる事ができる。

・今回はそのコーチングプラットフォームの中でTorchを紹介する。Torchは顧客により高い価値を与えたいと考えていたエグゼクティブ・コーチのCameron Yarborough氏により設立された企業である。Cameronは、臨床心理学者で行動科学者のKeegan Waldenと提携し、組織の開発プログラムにコーチングを組み込むためのプラットフォームを構築。現在では、メンタリングネットワークのパイオニアであるEverwiseを買収し、コーチング、メンタリング、デジタル学習を組み合わせた統合プラットフォームを提供し、様々なユースケースに対応した体系的なプログラムを提供。

・多くのコーチングプロバイダーのように、Torchは、従業員の評価、コーチの割り当て、コーチング体験の提供・管理などを行うが、その核心は "プログラム中心のシステム "であることである。トーチでプログラムを設計し(例:マネージャー研修、HIPOプログラム、DEIプログラム、オンボーディング)、様々な形態のコンテンツ(例:LinkedIn Learningコース、LMSコンテンツ、記事、クイズ)を埋め込み、これらの体験の上にコンテンツやメンタリングを追加することが可能。これにより、どんな学習プログラムもさらにパーソナライズされ、社員個人に寄り添うものになる。プラットフォームにはコーチはもちろんメンターも含まれるので、単なる教育ではなく行動の変化に焦点を当てることができる。

組織のニーズに合わせて、独自のリーダーシップコンピテンシーや文化的価値観などの戦略的コンテンツを追加することも可能だ。

・多くのリーダーシップ開発プログラムは、トピックや情報に重点を置く。Torchでは、企業文化や戦略、取り組みに沿った形で、リーダーの「直接的な行動変容」を支援すること可能。例えば、FICO社では、シニアリーダーの育成プログラムにTorchを使用している。このプログラムでは、参加者はビデオを見たり、コースを受けたり、自己を振り返ったり、直接指導を受けたりする。360度の評価の情報をもとに、強みを生かし、弱点に対処するために特別に設計された、体系的な学習プログラムを作成。Zendesk社は、Better Upの顧客でもあるが、"Ignite "と呼ばれる包括的なリーダーシップ・プログラムにTorchを使用しています。Igniteプログラムは、メンタリング、グループコーチング、オンライン学習など複数の方法を組み合わせ、C-Suiteの炉辺談話やマスタークラスで補完している。

・新任マネージャーは、自己理解を深め、グループコーチングイベントに参加し、キャリアプランを作成し、その後、個別のコーチと会い、サポートを受けることできる。

このプログラムに参加した社員の95%が、メンターとのペアリングとメンタリング体験に高い満足度を示し、91%が、より大きな責任を負い、自分のキャリアを管理するモチベーションが高まったと報告している。また、80%以上の管理職がグループコーチングセッションを有益で魅力的なものだと感じています

・一部の企業は、全社員を対象としたエンドツーエンドのコーチングソリューションを求めており、パーソナライズに重点を置いています。また、コーチやメンターが組織のイニシアティブ、コンピテンシー、バリューに沿ったプログラムに統合されるような、よりアーキテクトなソリューションを求める企業もあります。

リーダーシップ開発およびソフトスキルの市場は巨大で、DDI、Harvard Publishing、Skillsoft、Franklin Covey、Ken Blanchardなどの従来のベンダーは何年も前から存在していたが、今日、企業は意味のある行動変革を促すことができる、高度にパーソナライズされたソリューションを切望している。

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企業のコーチング・教育市場は変わりつつある。市場的には約58兆円の巨大市場ではあるが、今まではエグゼクティブコーチに1時間数十万払っていた時代から、よりパーソナライズした教育プログラムを提供するために、コーチングプラットフォームを活用してより多くの従業員に教育の機会を提供する企業が増えてきている。日本にはこの記事で紹介されたTorch社を含めたプラットフォームはまだローカライズされていない。Toach社もBetter up 社も創立者が実際エグゼクティブコーチであるがゆえ、リーダシッププログラムやハイポプログラムなどの実例を考慮したプラットフォームなっているのがとても興味深いところだ。今後も注目したいコーチングプラットフォームである。

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